映画「黙して契れ」あらすじ

2010年のベネズエラ映画。ベネズエラの過酷な現実、犯罪や犠牲が渦巻く中で育つ兄弟の日常を描いた感動的な映画です。首都であるカラカスのスラム街で、手作りのケーキ屋さんで生活費を稼ぐシングルマザーに育てられたフリオとダニエル。実はダニエルは赤ちゃんの時にゴミ置き場の中で泣いていたところをフリオが猫と勘違いをして見つけられ、優しい母親に拾われ本当の兄弟のように仲良く暮らしていました。それから16年後、2人の兄弟は才能あふれるサッカー選手となり、地元のクラブに所属しプロを目指していました。弟ダニエルは内気で優しく身体も細身ですが天才的なストライカーで、兄はがっしりとした体躯でチームリーダーとして皆を引っ張り、高いスキルを持つカリスマ選手で崇拝しています。しかしフリオは貧しい家計を支えるために同じクラブチームのゴールキーパーマックスとともに、街のギャング、モロチョの下で犯罪まがいの行為に手を出していました。ある日ダニエルは練習から帰る途中にストリートチルドレンに襲われ、大切なスパイクを奪われてしまいます。しかし小さな子供にはサイズが合わず、放り投げられたスパイクは伝線に引っかかったままとなり、繋ぎ合わせた棒で何とか取ろうとしていると、そこを通りかかったマックスがダニエルを助けようとストリートチルドレンに発砲してしまいます。その弾が偶然通りかかった兄弟の母にあたり命を落としてしまうのです。犯人に敵を討とうとする兄、兄を犯罪者にしたくない弟、間違って親友の母を殺めてしまった青年、貧困から抜け出すにはプロの選手になるしかない一隅のチャンスであるテストの試合の日、悲劇が起こります。

映画「黙して契れ」感想

平和な日本で暮らしている人間にとって、とても心が痛くなるような映画でした。生きていく為に犯罪をするしかなく、親がいない子供や捨てられる子供が普通にいる世の中など、想像できません。フリオとダニエル、そして事故を起こしてしまったマックスも、誰一人として悪気があってやったわけではなく、誰かを助けようと誰かのためにやったことが悲劇を生んでしまい、その連鎖がまた続いていくので、見ていて悲しかったです。映画の中で何度も流れるサッカーシーンは躍動感があって素晴らしかったです。貧乏にあえぐ毎日でも、泥だらけになって一生懸命ボールを追う少年たち、それを応援する大人は見ていて楽しそうで、地元を仕切るギャングでさえチームを全面的に応援しサポートしています。最終的には悲劇で終わってしまいましたが、一人残されたフリオがプロの選手となって天を仰ぐ目を見たら、彼も想像を絶する悲しみを心に秘めて日々生きているんだなと思われ、涙が止まらなくなりました。とても見ごたえのある素晴らしい映画だったと思います。